AI診断 胸部レントゲン

 最近AIという言葉を耳にしない日はありません。AIとは人工知能のことでArtificial Intelligenceの略です。この言葉の生みの親であるジョン・マッカーシー教授は、AIを「知的な機械、特に、知的なコンピュータープログラムを作る科学と技術」と説明しています。これまで人間にしか出来ないとされていた、知的な判断、推察を行えるコンピュータープログラムのことで、コンピュータが大量のデータからルールやパターンを発見し、自動で学習する機能を有するようになりました。最近ではさらに一歩進んだ「深層学習(ディープラーニング)」が実用化された生成AIと呼ばれる装置が普及してきており、ヒトを凌駕する日も近いのではないかと不安を感じざるを得ません。

 AIは医療の分野でも導入が盛んです。当院でもフジフイルム社製のAIを活用した、胸部レントゲン読影システムと、AI機能を搭載した内視鏡を導入していますが、今回はそのうち、レントゲンシステムについて説明したいと思います。

当院のレントゲンにはAI診断の特殊装置がついていますが、患者さんに特別な負担はありません。被ばく量も増えませんし、撮影時間も変わりません。撮影した画像データをAI装置が自動解析し、癌などの腫瘤影、肺炎でみられる浸潤影、肺に穴が開く気胸が疑われる領域を検出しマーキングしてくれます。その領域を私が再確認することで、見落し防止を支援してくれるのです。また、その場所をわかりやすく表示するために、ヒートマップ表示機能が備わっています。これは病変の解析をおこなったのち、0~100に応じた確信度を色分けして表示してくれるものです。そして、その確信度を数値で表示するスコア表示機能が備わっています。つまり、赤色調で100に近い数字が出れば病気の可能性が高くなるわけです。

この機能が備わってからは、安心して読影に集中できるようになり、患者さん、医師双方に十分メリットがある装置であると満足しています。ご興味のある方は一度ご相談ください。 ちなみに病変が疑われた場合は、胸部CT検査などの精密検査をお勧めさせていただくか、急ぎの場合は病院を紹介させて頂きます。