酷暑が過ぎるまで待たれた方が多かったのでしょう、晩秋以降健診結果を持参される患者さんが増えています。健診で生活習慣病項目に異常のある方は、運動や食事療法を勧めて、効果がなければ薬の開始となります。患者さんに投薬の説明をしますと「一度始めたら、もう薬はやめられないの?」と質問されることがよくあります。若い方の中にはもちろん休薬できる方もおられますが、中高年の方では残念ながら続けていただくことが多いのが現状です。それはなぜか、下の図でご説明いたします。

これは血管年齢のグラフです。そのグラフの中央に赤い点線で囲われた3本の実線が描かれていますが、これは血管の硬さの平均値の推移です。加齢(グラフの右方向)とともに右肩上がりで上がっているのがお分かりかと思いますが、これは年とともに硬くなっていくことを示しており、これこそが老化現象です。健康な方でも年には勝てないことがよくわかると思います。そして生活習慣病はこのスピードを加速させてしまいます。80歳を超えても若々しい方は、20-30代の頃から平均値の下を維持されていた方ということになりましょうか。若い方は血管年齢を平均以下に維持するようトライしてください。中高年の方は動脈硬化が進んでいかないようにケアを続けてください。これこそ地道な努力が実を結ぶ典型でしょう。

秦の始皇帝の時代、徐福というものがおりました。徐福は不死を願っていた始皇帝に「東方の三神山に長生不老の霊薬がある」と具申し、皇帝の命を受け不老不死の薬を探す旅に出て、そのまま下賜された渡航資金もろとも姿をくらましてしまいました。一説には日本に渡来したともいわれており、日本各地に徐福伝説があります。もしこの血管年齢のグラフを始皇帝に見せることが出来れば、どういう反応を示したのか、妄想が膨らみます。それにしてもあの始皇帝を手玉に取った徐福は、アンチエイジング商法の先駆けと言えなくもありませんね(-o-;)
