医療ダイエットとウゴービ

 肥満症は先進国を中心に社会問題となっております。これまでは西洋諸国や、アジアでは日本が主でしたが、東南アジアの新興国でもGDP(国内総生産)の増加とともに確実に増えています。肥満症はメタボリックシンドロームと密接な関係があり、脳卒中や心筋梗塞を誘発するリスクが高いのみならず、変形性膝関節症や睡眠時無呼吸症候群の原因にもなっています。

 これまで肥満症に対する治療薬は限られていましたが、最近相次いで新薬が開発され、日本でも保険適応となり使用が可能となってきました。しかしながらこれら肥満症治療を健康保険で行うには、施設基準において様々な条件をクリアする必要があり、一部の大病院に限られるのが実状です。

 当院では肥満の改善をすることにより、病気の改善が見込める患者さんが少なからずおられることから、自費診療ではありますが肥満症の治療として新薬(ウゴービ)を導入することにいたしました。

 ウゴービの主成分であるセマグルチドは、食欲抑制や胃の蠕動抑制、血糖降下作用により食べ過ぎを防ぎ、ダイエットをサポートしてくれるのが特徴で、既に海外では広く使用されている薬剤です。注射タイプで、週1回自己注射していただきます。

 発売元のノボノルディスクファーマ社によると、13-14%のダイエット効果が見込まれるようで、実際に投与している施設からも同様か、それ以上の報告があがっています。

 対象者はBMI(※)が35{\displaystyle \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}以上の方、またはBMI27{\displaystyle \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}以上で2つ以上の健康障害(血圧、コレステロ-ルなど)を有する方とされています。また、25-27{\displaystyle \mathrm {kg} /\mathrm {m} ^{2}}のかたでも肥満に関連する疾患の発症リスクが高いと判断した場合には、医師の判断で処方いたします。(痩せ型の方は急性膵炎などの副作用の出現頻度が上がることから、処方は控えされていただきます。)

 この薬は副作用が少なからずあるため、診察にて投薬が可能かどうか判断してから導入となりますので、お悩みの方は一度ご相談ください。

※BMI = 体重(kg) ÷ [身長(m)×身長(m)]

例)身長175cm、体重70kgの場合、70kg ÷(1.75m × 1.75m)= BMI 22.86